破産での公租と公課の優劣 | 福岡若手弁護士のblog

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破産手続開始決定を経て、

免責決定を済ませても、

いわゆる公租公課は

免責されません(破産法

253条1項1号)。

公租公課のうち公租と

いうのは俗語ですが、

公課は国税徴収法2条

5号に定義があります。

 公租の例は所得税など

国税や市県民税など

地方税、公課の例は

国民健康保険料です。

 このため、個人が破産

しても破産財団では公租

公課をすべて支払い

切れない場合、免責決定

後に当該破産者がまだ

幾ら支払う義務があるかを

画するため、破産管財人は

きちんと法律に即して

破産財団から公租公課を

支払う義務があり、これを

間違うと弁護過誤になって

しまいますお金

破産の場合、財団債権

(破産法148条1項3号)・

劣後的破産債権(破産法

97条4号)・優先的破産

債権(破産法98条1項)の

どれにあたるかを、まず

区分しなければなりません。

主に発生時期で区分

されるのですが、破産法

148条1項2号により、

税金の性質から時期に

関わらず財団債権となる

ものもあります。

 ところで、破産財団が

①財団債権を構成する公租

公課をすべて支払うには

不足する場合②財団債権は

全て支払えるが優先的

破産債権となる公租公課を

全て支払うには不足する

場合、それら公租公課の
優劣には注意が必要です。

 ①の場合破産法152条に

より他の法律の定めに

よらず公租公課は債権額で

案分することが決められて

いるのですが、②の場合、

破産法98条2項で他の

法律の定めによることが

決められているのです。

 他の法律、すなわち、

国税徴収法8条と地方

税法14条で、公租は

公課に優先する原則が

明記されているのです

 だから①の場合は、

財団債権の公租も公課も

金額だけ見て案分すれば

よいのですが、②の場合

優先的破産債権の公租に

先に全額支払って、残りの

優先的破産債権の公課を

その後に支払わなければ

弁護過誤になるのです。

 おそらく配当許可の時点で

書記官がチェックしてくれる

ので実際には弁護過誤は

起きないと思いますが、

公租が公課に優先する原則は

意外と知らない弁護士もいるので

この機会に押さえておくと

よいでしょうお金

ろぼっと軽ジK